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石巻ハッカソン VOL.7

2018/09/13

社外イベント

一般社団法人イトナブの主催により2018年8月17日から19日にかけて行われた「石巻ハッカソン」に協賛しました。
今年は3名の社員が「ハッカソン部門」に参加しました。ここではその様子をレポートします。

イトナブとは

イトナブとは「IT」×「遊ぶ」×「学ぶ」×「営む」×「イノベーション」の造語です。若者が、ITという切り口で石巻から世界へ挑戦できる環境づくりをしています。震災から10年後の2021年までに、石巻から1000人のIT技術者を育成することを目標にしています。

202人が集まった「石巻ハッカソン VOL.7」
石巻が “世界で一番プログラミングを学べる町” へ

関係者も合わせて総勢202人が集結した「石巻ハッカソン VOL.7」

3日間に渡る石巻ハッカソンにおける受賞チームの成果を中心に、イトナブの代表理事である古山隆幸氏と、弊社代表取締役 齋藤武育のハッカソンに込めた思いをご紹介します。

学生にとっては夏休みの終わりが見えつつある8月17日から19日の3日間、宮城県石巻市でアイデアや技術を競い合う「石巻ハッカソン」が開催されました。2018年で7回目を迎えたこのハッカソンは、地元石巻で小・中・高校の学生や大学生にプログラミング教育の場を提供するイトナブが主催し、2012年から毎年実施されているもの。

会場の1つとなったイトナブの事務所前

カフェのような作業スペース(IRORI石巻)

いよいよ作業開始

今回の石巻ハッカソンは3つの部門が用意され、メインとなるハッカソン部門では、全国から集まったエンジニアたち112人、20チームが3日間かけて技術を競いました。
また、普段から地元のイトナブでプログラミングを学んでいる小学生メンバーの「イトナブ団」部門や、プログラム経験の一切ない学生らが3日間で何かを作り上げる「IT Bootcamp」部門の成果も発表。
参加者、関係者合わせて202人という他に類を見ない規模のイベントとなりました。

イトナブ団に所属する小学生も成果発表

Scratchを使ったアドベンチャーゲームなどが披露

「ITブートキャンプ部門」の審査員を務める弊社取締役・須貝

「ハッカソン」がテーマのハッカソン。実用度の高いサービスが続々

「ハッカソン」というテーマが設定された今回の石巻ハッカソン。「ハッカソンでハッカソンを考える」というそのテーマの意外性に加えて、ほとんど初対面の参加者同士でチームを作るハッカソンならではの難しいシチュエーションでありながら、実用的、実践的な成果物が数多く発表されました。

グランプリ & オーディエンス賞

なかでも審査員による審査結果と参加者投票の両方で高い評価を受けたのが「Hackage(ハッケージ)」。グランプリとオーディエンス賞のダブル受賞となりました。
Hackageは、ハッカソンで最初の大きな壁となるチームビルディングをはじめ、ハッカソンに関わるさまざまな課題を解決するサービス。
参加者のプロフィール、所属チーム、チームごとのテーマやメンバー構成などを知ることができるものです。

これにより、チームビルディング中にメンバーがどんなスキルをもつのか、あるいはどのチームに所属しているのかを容易に把握できるため、バランスのよいチーム編成につなげられます。
また、成果発表時にはチームごとの成果物の内容などもわかることから、参加者、見学者、運営元などハッカソンに関わる全員がメリットを受けられるのが最大の特徴です。
まさに今ハッカソンに参加しているその場にいる大勢の人の共感を呼んだこと、「ハッカソン」というテーマに正しく沿った内容であることが高い評価を得る結果となりました。

受賞したHackageのメンバー

グランプリとオーディエンス賞のダブル受賞となった「Hackage」。ハッカソンの参加者はプロフィールを登録しておける

Expect賞

今後の発展に期待できる作品に贈られる「Expect賞」に選ばれたのは「ふぉるとん」。ハッカソンでの失敗談を共有する独自SNSです。
投稿した失敗談に対して、「いいね!」するかのように、かわいらしいブタのイラストとともに「ふぁいとん」などで励ましたりできます。
ハッカソンでは最終的に優秀な作品しか一般に紹介されないことから、これから参加しようとしている人はハードルの高さに気を取られてしまいがち。
それ以外の作品や失敗があることも知ることで、ハッカソン初心者の後押しになるだけでなく、ハッカソンでの成功のヒントも得られるとして受賞につながりました。

受賞したふぉるとんのメンバー

Expect賞の「ふぉるとん」。ハッカソンの失敗に焦点を当てたSNS

ヤバイで賞

「技術を競う」という石巻ハッカソンのコンセプトに最も当てはまり、かつ今後に期待できるサービスとして「ヤバイで賞」に選ばれたのは「Arai」。
AR(拡張現実)、AI(人工知能)、位置情報という3つの技術を組み合わせることで、スマートフォンのカメラで写している特定のオブジェや風景に対してメモを記録したり、そのメモを画面に表示したりできるものです。
単にメッセージを表示するだけでなく、使い方によってはスタンプラリーなどにも応用できるとしました。

受賞したAraiのメンバー

ヤバイで賞に選ばれた「Arai」。その“場所”にメモを残しておける、かつてのセカイカメラに似たところもあるサービス

Octocat賞

協賛会社の1つであるGitHubのマスコットキャラクターの名前を借りた「Octocat賞」には、「魚市場見学会」が輝きました。
石巻魚市場がある漁港の街、石巻。
その朝市を見学したいと思っても、その日確実に市場が開かれているのか、そもそも漁船による水揚げがあるのか、すぐにはわかりません。
そこで、観光客が手軽に魚市場の情報を得られるようにする「水揚げ情報アプリ」を、LINEのスマートスピーカー「Clova」のスキルとして開発。
漁協の公式サイトなどから情報を取得し、それを元にユーザーの質問に対して返答します。
成果発表の場では、実際に「今日はお休み?」などと聞くと、休みかどうかを答えたり、あるいは休日の予定を返答したりする様子をデモしました。

Octocat賞の「魚市場見学会」。実際に石巻魚市場まで行き情報収集したそう

LINE ClovaにOctocat風の被り物を着せたことが、Octocat賞に選ばれた理由の1つに

オムロン賞

温湿度、気圧、照度、騒音レベルなどを測定可能なIoTデバイス「環境センサ」をハッカソンに提供したオムロンからは、「オムロン賞」が「Team Green」に贈られました。
石巻の飲食店に環境センサを設置し、室温や湿度のような環境情報をWeb上で公開して、ランチやディナーのために飲食店を検索する人のお店選びに役立ててもらうもの。
寒がりな人、暑がりな人にとって便利であること、環境センサを大量に活用できる可能性があることなどが受賞理由となりました。

オムロン賞に選ばれた「Team Green」の「マキスポット」

受賞したTeam Greenのメンバー

弊社社員3名を含むチームが発表したのは「Link SNS」というサービス。スマートスピーカー「Amazon Echo」にしゃべりかけることで、その内容をテキスト化してTwitterなどのSNSに自動投稿する仕組みです。
残念ながら受賞には至りませんでしたが、Alexaスキルとして実装し、実際にしゃべった内容をテキスト化してデータベースから投稿一覧として表示するところまで完成させていました。

成果発表する弊社社員とチームメンバー

Amazon Echoに話しかけた内容をテキスト化してSNSに投稿可能に

2019年も石巻ハッカソンを開催すると宣言

成果発表と授賞式を終えた後は、イトナブ代表の古山氏から締めの挨拶。
ここで、イトナブの支部として山口県にイトナブ周南、奈良県にイトナブ生駒が完成し、今後は各支部でプログラミング教育の活動を本格化し、ハッカソンの開催なども計画していることを発表しました。
また、2019年の夏に8回目の「石巻ハッカソン」を開催することも宣言。普段の仕事とは違う新しいチャレンジがしたい人、夏休みの印象深い思い出をつくりたい人は、イトナブのWebサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。

特別対談

成績順ではなく技術で就職できるように

2012年1月にイトナブを立ち上げ、学生にプログラミングを学んでもらう環境を作る活動を始めました。ハッカソンを始めたのはその年の夏です。
学びというのは、本来、教科書を読むことだけではないのではないか。活躍している大人、プロの姿を見せることが本当の教育の姿じゃないか、と考えたんです。

自分自身、高校のときに何をしていいかわからないまま「とりあえず」埼玉の大学に行きました。
しかし、当時広まり始めていたパソコンに刺激を受け、東京にいるたくさんの人々の背中見て、自分も「何かやろう」と思えました。
こういう環境が石巻にもあれば、「何かしたい」という気持ちが他の人や他の街にも広がるのではと。

石巻はエンジニアに出会う機会の少ない地域ですが、若者は大人の背中を見て進化する、大人は若者の成長を見て原点回帰する、そんな環境を作りたい。
そういう思いで、2012年当時はまだ少なかったハッカソンをやっていこうと決めました。

石巻ハッカソンでは、よく地方のハッカソンでありがちな地方都市の問題を解決するものや、スポンサーのネタをやる、開発しないでプレゼンだけやる、というものに主眼を置くのではなく、技術を競い合うことにこだわりたい。
石巻を世界で一番プログラミングを学べる町にしたいんです。

移住を提唱しているわけではなく、若者達が学んだらむしろどんどん外に行ってほしいと思っています。
1人が石巻に移住するより、その1人が学んで外に出ることで10人の若者が来る方がうれしいですね。それがきっかけで渦ができ、どんどん新しいものを巻き込んでいけるはずです。

今後は高校生のプログラマーに特化した教育プログラムや、地方都市だからこそのメリットがあるサービスを作りたいですね。
高卒での就職率が高い地方では、技術をもたずに成績順で就職していることがほとんどです。でもこれからは「技術」で就職するのが当たり前になるのではないでしょうか。
パソコンとインターネットがあればどこでも、何でもできる。そういうことを石巻から実現したいと思っています。

彼の目標に共感したんです

石巻ハッカソンには、2017年の第6回からスポンサードして、今回が2回目です。
2017年の春頃に、イトナブを運営している古山さんという人がいると知り、自分と同い年だったこと、世界に発信できるエンジニアを育てていきたいという目標を聞いて、自分が開発会社を経営していることもあって彼の目標に共感したんです。

スポンサードすることについては、会社に直接的なメリットはありません。ハッカソンに対してはスポンサーとして何も口を出しませんし、出したいとも思わない(笑)。
ハッカソンには古山さんをはじめ、同い年で活躍している人たちが一杯いて刺激されますね。

2017年の石巻ハッカソンでは当社から審査員を1人出していて、今回は社員3人が他の人とチームを組んで出場しています。
3人の今持っている力が、全然知らない人達と集まるこういうイベントでどこまで通じるか……。
将来的にこの経験が仕事に活かせればいいし、彼ら自身がスキルアップ、ステップアップできるよう応援したいと思っています。

来年以降も古山さんが許してくれればスポンサードはしたいですね。ハッカソンに参加した子どもたちが後々「アスノシステムという会社があったな」と思ってくれたらそれでいい。
5年も10年も先の話ですけど、そこで何かが生まれるかもしれませんから。


石巻ハッカソン:http://ishinomakihack.com/
一般社団法人イトナブ:https://itnav.jp/

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